部屋に入ると政宗はベッドに直行して、そのまま眠る態勢になってしまった。
俺もベッドに腰掛けて少し政宗の髪を撫でたあと、水置いて帰ろうかな、と思って立ち上がった時。
クイ、と弱く服の裾が引かれた。
振り返ると、淋しさを色濃く滲ませた目とかち合った。
「もう、帰るのか?」
そう聞かれると、何となく帰れなくなっちゃって。
「水取って来るだけだよ」
そう、言っていた。
水を取ろうとしてたのはホント。
だけど、その後はもう帰ろうと思ってた。
けど、そんなこと言われたら帰れないじゃん・・・。
水を持って行くと、政宗はもう眠ってしまってた。
丸まって寝息を立てる姿は、猫みたいだな、とか思った。
布団をしっかり掛けてやり、頭を撫でる。
「・・・好きだよ。大学行く途中の道で見てるだけだった時から、ずっと・・・」
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