注文してからの待ち時間。
喋るのは俺と親チャンだけで、政宗は殆ど喋らなかった。
(・・・あんまり、人と話すの得意じゃないのかな?)
ホントたま〜に、親チャンが話題を振って、短く返事をするだけ。
それ以外は、ずっと聞き手にまわっていた。
チラリ
彼を見る。
ドキリ
心臓が、鳴る。
遠くで見ていても際立っていた彼の美しい容姿は、近くで見ると尚更だった。
白い肌に、少し色素の薄い茶色の隻眼。
顔の右側にかかる、少しくせのあるつややかな黒髪。
鋭い眼もとを縁取る、長いまつ毛・・・。
全てが人形のように、整っていた。
唯一。
唯一の欠点を述べるならば、やっぱり右の瞳が眼帯に覆われている事・・・だろうか。
ただやっぱり、それさえも美しかった。
(・・・触れてみたい)
そんな思いが、わき上がる。
触れたい。
あの白い肌に、触れてみたい。
思わず伸びそうになった腕を押さえて、俺は笑った。
いつか、君に触れられる時が来ればいいな
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