「人間の肉ってさ、美味しいのかな」
俺の大好きな大好きな、この世で一番大事な人の頭がとち狂ってる事は知ってる。
で、俺の頭はそれ以上に狂ってるのも知ってる。
「・・・さぁな」
佐助の出してくる難解な質問に、俺はいつも答えられない。
だって、ホントに知らないし。
人間の肉なんて俺、食ったことないし。
「昔さぁ、よく言わなかった?お前は太ってるからおいしそうだ、とかって」
「あ〜、言ってる奴いたな・・・」
小学生の時だったか。
そんな事を話したこともある・・・様な気がした。
俺はその時、その会話に入っていただろうか?
何処にいただろうか?
そもそもこれは、誰が言った?
俺か?
まさかな。
「俺ってさ、おいしいかな・・・」
「まずいんじゃね?」
「ヒドッ」
そもそも、人間って美味いのか?
つか、食えんの?
「でも・・・お前なら食ってもいいかな・・・」
食えると仮定しても、佐助はどう考えても痩せ型だから、まずい・・・と思う。
だけど
お前なら、食ってもいいかも。
いや、むしろ食いたい。
「・・・・・・食っていい?」
「ダ〜メ。俺様が、政宗を食べるんだから」
「俺ヤダ」
「ヤじゃない」
「ヤダ」
俺は、そのまま佐助の白い首筋にかぶりつく。
きつくきつく・・・まるで肉を食らう様に。
ツンと・・鉄の味。
俺の首にも痛みが走った。
佐助が、俺の首に俺と同じようにかぶりついてる。
今度は、液体が出て行く感覚が。
「佐助の血・・・美味い」
「何ドラキュラみたいなこと言ってんの」
「俺、ドラキュラ」
「政宗は人間でしょ」
「うん。にんげん」
「でしょ?」
頭を撫で撫でしてくれる手が。好きだ。
やわらかくて優しい手が、好きだ。
時々狂って変なこと言うけど
狂ったらその時。
その衝動に、任せてしまえ。
fin
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