大切な人の誕生日には、思いっきりお祝いしてあげたい。
生まれたことを、喜びたい。
これって普通の感覚だよね?
「どこ行くの?」
「バイト」
「・・・は?」
「だから、バイト」
当然の様に言い放つ恋人に驚いて、俺は思わず携帯を開いて日付を確認した。
うん、間違ってない。
今日は9月5日。
今目の前で出掛ける準備に取り掛かっている、俺の恋人の誕生日。
俺の大事な大事な人の、生まれた日。
「ねぇ、今日何の日だかわかる?」
「・・・my birthday」
わかってるし!!
この人わかってるし!!
「あ、そろそろやべぇ。行ってくんな」
「えっ、ちょ・・・!!」
バタン
俺の言葉を遮るように、扉が閉まった。
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