昼休み終了を告げるチャイムが鳴った。
「政宗〜次なんだっけ?」
「体育」
「ねぇ」
「何だ?」
「サボっちゃおうか」
「言うまでもねぇだろ?」
「そうだね」
屋上の端と端に寝転がって、俺達は会話する。
会話するならもっと近くに寄ればいいのだけれど、俺達はあえてそうしない。
この距離で話すのが、一番気持ちいいのだそうだ(俺にはよくわからないけれど)。
俺としては、隣でくっついていたい。
1mmの隙間もない位、密接に。
だけど、政宗は違う。
政宗は好きだからこそ、離れていたいのだそうだ。
初めは首を傾げた俺も、もう慣れっこになった。
「なぁ〜」
「なに〜?」
「空、飛んでみてぇな」
「え?」
俺が思わず横を見ても、嫌味な位に長い手足を投げ出して、彼は仰向けに寝転がってるだけだった。
「・・・鳥って・・・どんな景色を見てんだろうな?」
生まれ変わったら鳥になりたい、とか何とか言ってる俺の恋人は、俺に辛うじて聞こえるような声でそう言って、開いていた左目の瞼を閉じた。
君が鳥になるというのなら
俺はその隣で、君と同じ景色を見続けよう
fin
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