頭がふわふわ






「あ〜・・・今日から4月だぁ」

カレンダーを見ながら佐助は呟いた。

「・・・ん?って事は今日エイプリールフールじゃん!!!」

エイプリールフール。
何のためにあるのか全く意味不明な、とにかく嘘をついてもいいとかっていう日。

『嘘は泥棒の始まり』

そう言われているこの日本において、あっていいのかわからない行事。

「嘘ついてもいいんだよね♪・・・そうだ!!!」

ターゲットを定めた佐助はニヤリと、しかし楽しそうに笑った。



「政宗〜」

佐助は今日、恋人である政宗の家に勉強しに行く、と言っていた。

2人は高校1年生から、2年生に上がる。
春休みが終わっても学校に居る学年の子供達には、思いっきり宿題が出されたのだ。

そこで二人は、何度か互いの家で宿題を片付けていた。
今日も、その約束が入っている。


インターホンを押してしばらくすると、中から足音が聞こえ、まだ眠そうな顔をした政宗が出てきた。

「おはよ、政宗。まだ寝てたな〜?」

「oh・・・Good morning、佐助・・・」

「眠いの?」

「・・・大丈夫だ・・・入れよ」

大丈夫、と言っても眠そうに一つきりの眼をしきりに擦っている政宗に佐助は苦笑した。



「じゃあ、始めよっか〜・・・」

「あぁ・・・」

まだまだ眠そうな政宗の前に座り、佐助は教科書を開いた。
カリカリというノートにシャープペンを走らせる音だけが、空間を支配する。

いくら恋人であっても。
集中している政宗に声をかけ、ソレを解いてしまうと、どうなるかわからない。
前にやった時には確か・・・筆箱の中身(佐助のも、政宗のも)を全て佐助に向かって投げつけた。
シャープペンも、先が全てしまわれるタイプなら当たっても大したことはないが・・・先が尖っているシャーペンは、確実に刺さるだろう。
それくらい、凄かった。(壁に当たった何本かは壁に刺さり、そのあと佐助は政宗に修理代を請求された)

とにかく政宗の集中をむやみに解いてはならない。

だから声は掛けずに、佐助はその間、政宗にどんな嘘を吐こうか、などというくだらない事を必死に考えていたのであった。



- 68 -


[*前] | [次#]
ページ:




第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -