それでも傷つけたくないんだよ・・・







夜になると、疼き出す。
それは、抗えない本能。

だけど抗わないと、俺は
君を傷つけてしまう・・・
それだけは・・・!!!!


「うぅっ・・・」

欲しい、欲しい・・・欲しくてたまらない。
身体が、欲している。
・・・人の血を。

「佐助・・・苦しいのか?なぁ・・・」

「政宗、少し・・・離れてて・・・?じゃないと、俺・・・」

「だから、いいって言ってんだろ!?俺の血吸えよ!そしたら佐助、楽になンだろ?」

毎夜毎夜襲ってくるこの衝動。
そのたびに俺の愛しい恋人は、自分の血を俺にくれようとする。
だけど俺は。

「ダメ・・・ダメだよ、政宗・・・」

君を傷つけたくないから、それを拒む。

白い肌は、ホントにすべすべ。
綺麗なラインの首筋。

そんな綺麗なところに、俺の穢れたこの歯の跡を残したくないんだよ・・・!!!

「くっ・・・」

「っ佐助!!!」

人の血を摂取しない日が続いている身体は、そろそろ限界の様で。
毎日酷くなっていく、渇き。

そんなに近くに来ないで?
離れていて。

じゃないと、俺・・・君を・・・

「佐助・・・」

政宗が、俺の頭を自分の首筋に押しつける。

香る、甘美な匂い。
理性が揺れて、我慢が効かなくなりそうだ。

「は、離して!!政宗!!!」

俺は、必死にもがく。
早く抜けないと、政宗に・・・!!!

「飲めよ、俺の。怖くなんて・・・無いからさ」

穏やかにそう言ってくる。

「なぁ、飲んでくれよ・・・?
毎日毎日お前が必死に耐えてるの・・・見てるだけってのは、辛いんだよ・・・。
なんとかしてやりてぇ。お前を、楽にしてぇんだ・・・」

政宗が、泣きそうになりながら言う。

そっか・・・我慢してるの見る方が、辛かったんだね・・・。
ごめんね?苦しい思いさせて・・・。

「・・・いいの?」

「ああ。早く飲め・・・」



その日味わった血は、今まで飲んだどの血よりも、甘くて優しい味がした



fin








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