響き渡る品の無い笑い声。
その対象は、いつだって君だった。
だけど君は泣くことも、弱音を吐く事も無くて。
唯、黙ってそいつ等を睨んでた。
始め俺は、君は強いと思ってた。
だけど、気付いた。
あぁ、君は
君は、独りなんだ。
独りだから、弱くなれないんだ・・・
屋上に行くと、ほら。
いつものように、君は居る。
フェンスにだるそうに身体を預けて。
君はただ、こっちを見てる。
・・・何もその隻眼には映さずに。
「大丈夫?」
俺は、そんな君に声をかける。
「・・・大丈夫に見えるか?」
「・・・だね」
君が答えてくれるようになったのは、いつからだったっけ?
最初は、何言っても無視だったのに。
「伊達ちゃんてさ・・・偉いよね」
君の眼が丸くなって、俺を見る。
俺は、そんな君に向かって笑いかける。
「だってさ、こんなボコボコに袋叩きにされても、絶対にやり返さないし」
何時頃からか。
虐めは暴力に変わってた。
始めは言葉で君の心を傷つけて。
次は暴力で、君の身体を傷つけてる。
それでも。
君は弱音なんて吐かないんだ。
やり返したりもしないんだ。
「それに、ちゃんと学校来るし」
逃げたりも、しないし。
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