逢瀬は月の夜








それは、恋人達の秘密の時間であり、至福の時間。

「よかったでござる、政宗殿
今日もこの場で会う事が出来て」

「Me too
俺もだ・・・幸村」

時は戦国。
この戦乱の時代、いつ命を落とすかわからない。

自分も。
相手も。

月の晩に会える事。
それは、奇跡。

「好きでござるよ・・・政宗」

「俺もだ・・・幸村」

限られた時間。
夜があけるまでには、自分達の屋敷に戻らなければならない。
政宗が、幸村の胸に顔を埋めた。
幸村は驚く。
こんな風に甘えられるのは、初めてだ。

「どうしたんでござるか?
何かあったのか?」

「今日・・・また沢山部下が死んだ・・・」

政宗の声は、震えていた。
きっと、責任を感じているのだろう。
彼は、優しいから。

「戦なのだから、仕方なかろう?
政宗が責任を感じる事はない・・・」

「でも・・・俺は頭として、皆を守らなければならない・・・」

「しかしな、何でも全て守れる訳ではない。
犠牲があるのは、どこの軍とて同じでござる。
今日の戦で犠牲になった者達も、政宗を怨んではいないと某は思うぞ?
貴殿はよく頑張っている」

幸村はそう言って、政宗の頭を撫でた。

「・・・お前は・・・死ぬなよ・・・?」

政宗がぽつりと呟いた。

「わかっているでござる。
政宗も、某の前からいなくなるでないぞ?」

「・・・Ok・・・」

その返事に頷いて、幸村は政宗に口付ける。
これは、逢瀬の晩に繰り返される、誓い。

『次の夜にもこの場所で会おう』

二人だけの、約束。

「幸村・・・」

「何でござるか?」

「この世では俺達は結ばれない


「そうでござるな・・・」

「来世では・・・」

「そうでござるな。
来世では、結ばれたいでござるな」

月を見上げ、そう呟く。

「・・・絶対・・・結ばれような?」

笑顔で政宗を見て、大きく頷く。

絶対に来世では、幸せになりたい。
二人で・・・一緒に。




fin

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