突然飛び出したくなったんだ








下校時間も過ぎた屋上で秋の冷たい風に当たりながら、何も言わずにフェンスに凭れている男子生徒が二人。


一人は、派手なオレンジ頭。

もう一人は、右目に眼帯。


沈黙を楽しむように、二人は何も話さない。
まるで何も話さなくても、相手の言いたいことがわかっているかのように。


「ねぇ」


不意に口を開いたのは、オレンジ頭。


「n?」


ソイツの方を見る、眼帯。


「一緒にさぁ・・・逝かない?」

「逝く・・・」


口の中で反芻して、眼帯は笑った。


「良いぜ、佐助」

「ふふっ・・・政宗なら言うと思った」


オレンジ頭の佐助という少年と

眼帯の政宗という少年


二人は、笑った。

酷く、可笑しいという様に。


「気持ちいいだろうな」

「だろうね。鳥になった気分・・・みたいな?」


二人は笑う。

酷く、哀しそうに。


「一緒に逝こう?」

「いいぜ」


二人は、フェンスを越えた。

越えて、手を繋いで。


空に、一歩踏み出した。




愛してるよ、政宗。
だから、一緒に逝きたかったんだ。



佐助、愛してる。
だから、離れないで。



fin



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