「愛が欲しい」
そう言って、俺の恋人は泣いた。
それはそれは綺麗なたった一つの瞳から、涙を流して。
十分に愛してやってると思ってた。
だけどそれは、俺の恋人には十分に伝わってなかったらしい。
「ごめんね」
「お前が、謝ることじゃ、ない」
抱きしめた身体の体温は少し低くて、それがまるで俺が与えていた愛情が少なかった事を言ってるみたいで。
悔しくて、力いっぱい、抱きしめた。
愛してやってる、つもりだった。
だけどそれ以上に、政宗は自分の身を削っていたのかもしれない。
思えば、俺の方が与えられるものが多かった気がする。
政宗は、恋人は。
いつも俺の望むものを与えてくれた。
言葉も。
料理も。
・・・愛情も。
人間はみんな欲深い。
それはみんなきっと同じ。
だけど、いかにその欲を抑えるか。
自分の中に押しとどめるか。
それが、優れた人間と愚かな人間の違いなのではないだろうか?
俺の恋人は、出来すぎた人間だ。
自分の欲を最小限に抑える術を、彼は知っている。
そして人に尽くす方法も、知っている。
俺なんかよりも、ずっとずっと出来た人間なんだ。
だから、無理をさせてしまった。
本当はすごくさみしがりやで。
一人が大っ嫌いで。
人一倍強がりな、この恋人に。
「ごめんね・・・」
「もう、いい・・・」
もう離さない、という様にギュッと縋られた腕が愛おしくて。
君をもっともっと欲しいと思う俺は、やはり欲深いのだろうか?
レピアス=傲慢な欲深さの象徴
fin
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