無理かもしれないけど






今日も、窓から見える景色は変わらない。
雪が積もって真っ白になった中庭には、走り回る元気な子供の姿もなければな、犬の一匹すらもいない。

ただただ、殺風景に真っ白な景色。

ああ、俺は何時になれば此処から出られるのだろうか・・・?
何時になったらこの、雪と同じ寂しい冷たさを持った部屋から出られるのだろう?


「政宗〜?」


ガラッと音を立てて入ってきた銀色頭。
雪よりも輝くその色が、俺は好き。
キラキラ光って、まるで頭の上に輪っかがのってるんじゃないだろうか?とまで思ってしまう。

だけど、元親は普通の人間だ。
それはただの思い込みか幻だ。


「ちか」

「おぅ。具合どうだ?」

「今日は大分いい」

「そりゃあよかった」


元親が、笑う。
屈託の無い笑顔で、笑う。
俺はその顔が好きだ。
だから嘘を吐いてしまう。


本当は、具合はよくなんてない。
頭も痛むし、何だか寒気もする。
手足の先が、少しぴりぴりする。
息も、少し苦しい。


わかるんだ。
もうすぐ俺は死ぬ。
きっと、死ぬ。
治らないだろう、きっと。


だから、その前に。

一度だけでいい。
お前と外に出たい。


その綺麗な銀髪に、綺麗な白い雪が舞降りるのを、この目で見たい。
誰より近くで。


「政宗?」

「・・・雪、綺麗だな」

「ん?・・・・・・ああ、そうだな」


きっと、すごく綺麗なんだろうな。



窓の外には今日も、雪が舞い降りている。



fin





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