俺には、恋人が居ます。
とっても可愛い、恋人が居ます。
ザァァァァ・・・
俺は今、バケツひっくり返したような大雨の中を傘を差して走ってる。
「政宗〜!」
愛しの恋人の名前を呼びながら。
恋人は、時々こうやって家出する。
しかも決まって、大雨の日に。
傘も持たないで、家出する。
今日もなんだか嫌な予感がして、早く帰ったのだけれど。
古いアパートの一室に戻ると、玄関先に傘とスクールバッグが投げられていて。
彼の姿は、無かった。
「もー・・・何で居なくなるかなぁ・・・」
理由は、よくわからない。
でもなぜか彼は、大雨になると居なくなる。
しかも厄介なことに、見つけてやらないと帰って来ないのだ。
だから、探してやらなきゃいけない。
「・・・何処行っちゃったんだろ・・・?」
アパートからは、大分離れてしまった。
彼は見つからない。
雨がやむ気配も、無い。
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