それから数ヶ月後だった。
「え?猿飛君知らなかったの?」
「一組の、隻眼の子でしょ?ずっと前からだよ?」
「嘘・・・でしょ・・・?」
初めて知った。
ずっと一緒にいたのに、気付かなかった。
「政宗!!!」
教室にも、廊下にも。
図書室にも、保健室にも。
君の姿は無かった。
ずっと一緒にいた。
一緒に、笑い合ってた。
だけど俺・・・政宗のこと、何にも知らなかった。
ソレを今日、初めて知った。
「政宗・・・」
やっと見つけたのは、誰も来ない旧校舎の体育館倉庫。
寒くて暗いその部屋の隅っこで、政宗は体育座りで震えてた。
「政宗・・・?」
「さ・・・すけ・・・?」
顔を上げた政宗は、自嘲気味に笑う。
「・・・どうしたんだ?」
どうしたって言われても、俺には答える言葉が見つからなかった。
聞いても答えない俺の代わりに、政宗が言葉を続ける。
「・・・お前には、知られたくなかったのにな」
「どうして・・・?ずっと」
「好き・・・だったから」
「え?」
「好きだったから。迷惑・・・掛けたくなかった」
俺はソレを聞いて、思わず政宗を抱きしめた。
しばらく触れていなかった身体は、前に触れた時よりも格段に細くなっていた。
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