好き







「す・・・き・・・?」

「そう。好き」

ねぇ、だからさ、自分をそんなに嫌わないで?

君が君自身を信じなくなったら。

君は、誰にも信じられない。
誰の事も、信じられない。

「う・・・嘘、だ・・・」

「ウソじゃない」

「嘘だ、嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だっ!!!」

たった一人で蹲って。
痛みに耐えて。
辛さに耐えて。
君は一体、そこから何を見てきたの?

「嘘じゃないよ?信じてよ・・・俺は、伊達ちゃんの事、大好き。伊達ちゃんが傷ついてるの見てるの、辛いよ?ねぇ・・・」

頼ってよ。
泣いてよ。
泣くのを堪えてる君が、一番痛々しいんだから。

好きじゃ、伝わらない?

そうなの?
君の心には届かない?

なら・・・


「愛してるよ、伊達ちゃん・・・」



たった一人の君に。
愛を知らない君に。

俺は愛を囁く。



固い固い防備を纏った君が

無防備に、軽い身体になれる事を祈って。



fin





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