「佐助・・・俺はあの日、願い叶えて貰った。
お前がいてくれて、嬉しかった。
父さんがいなくても、お前がいたから寂しくなかった。
それだけで、十分だ。
だけど・・・」
「だけど?」
「もし。もしもお前が、いいんなら・・・」
「お前とずっと一緒にいたい。
お前に人間になって欲しい。
で、一生俺の傍にいてほしい」
子供の時。
あの日の次の年も、その次の年も、俺は待ってた。
佐助が来てくれるのを、待ってた。
だけど、佐助は来なかった。
寂しかった。
もう、離れるのは嫌だ。
「それが・・・政宗の願いなの?」
「あぁ。そうだ」
佐助は、笑うとポケットから小瓶を出す。
あの日と同じく、綺麗な鈴が部屋の明かりを反射して、七色に光った。
佐助が静かに瓶を開けて、鈴を取り出した。
「これを、願いを言いながら鳴らして」
小さな鈴を俺に握らせて、佐助は言った。
それに頷き、俺は眼を閉じた。
(お願いだ。佐助を、人間にしてくれ。)
「佐助を、人間にしてくれ!!」
リン、
澄んだ鈴の綺麗な音が、部屋に響いた。
優しくて温かい光が、佐助を包む。
霧のように佐助を包み、佐助が見えなくなる。
それが晴れた時。
俺達は抱き合い、キスをした。
fin
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