ガラスの小瓶







「佐助・・・俺はあの日、願い叶えて貰った。
お前がいてくれて、嬉しかった。
父さんがいなくても、お前がいたから寂しくなかった。
それだけで、十分だ。
だけど・・・」

「だけど?」

「もし。もしもお前が、いいんなら・・・」


「お前とずっと一緒にいたい。
お前に人間になって欲しい。
で、一生俺の傍にいてほしい」


子供の時。
あの日の次の年も、その次の年も、俺は待ってた。
佐助が来てくれるのを、待ってた。
だけど、佐助は来なかった。
寂しかった。
もう、離れるのは嫌だ。

「それが・・・政宗の願いなの?」
「あぁ。そうだ」


佐助は、笑うとポケットから小瓶を出す。
あの日と同じく、綺麗な鈴が部屋の明かりを反射して、七色に光った。

佐助が静かに瓶を開けて、鈴を取り出した。

「これを、願いを言いながら鳴らして」

小さな鈴を俺に握らせて、佐助は言った。
それに頷き、俺は眼を閉じた。

(お願いだ。佐助を、人間にしてくれ。)

「佐助を、人間にしてくれ!!」




リン、




澄んだ鈴の綺麗な音が、部屋に響いた。






優しくて温かい光が、佐助を包む。


霧のように佐助を包み、佐助が見えなくなる。





それが晴れた時。


俺達は抱き合い、キスをした。





fin





- 22 -


[*前] | [次#]
ページ:




第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -