「なぁ、お前・・・名前は?」
「え?名前?」
「うん」
「俺の名前は、佐助、だよ」
「さすけ・・・」
「うん」
佐助は、笑った。
そして俺の頭を撫でた。
「願いは、決まった?」
願い・・・。
なんだろう。
俺は、何を望んでるんだろう。
一番は、母さんに帰って来て欲しい。
だけど、物で人の心を変えたくない。
俺の、願い・・・。
「じゃあ、さ」
「なぁに?」
「・・・傍にいて」
「え?」
「俺が寝るまででいい。傍にいて」
それが、今の俺の願いだから。
言うと、佐助は驚いたような表情をした後、本当にそれでいいのかと、聞いてきた。
俺は、頷く。
いいんだ。これで。
「・・・わかったよ」
佐助は小瓶を再びポケットに仕舞い、俺を抱きしめた。
暖かい体温が、嬉しかった。
次の日。
枕元のプレゼントに喜ぶ俺を見て、父さんが笑っていた。
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