「寂しくは、ない」
嘘。
ホントは、寂しい。
一年に一回のクリスマスくらい、一緒にいて欲しかった。
だけど、父さんは仕事だから。
仕方ない。
仕方ないんだ。
寂しいなんて、言っちゃいけない。
父さんは、頑張ってるんだから。
「・・・強がらなくて、いいよ」
だけど、男には丸わかりだったみたいだ。
ギュッと更に男の嘘に力が込められた。
「寂しいんでしょ?
クリスマスに、一人でお家にいるなんて。
他の子供達はお母さんやお父さんと過ごしてるのに、一人ぼっちだもんね。
寂しいよね・・・」
「そんな、こと・・・」
「クリスマスプレゼント。何がいい??好きなもの言いなよ。俺が、叶えてあげる」
男はそう言って、ポケットから小瓶を取り出した。
そしてそれを、俺の目の前に掲げる。
「きれい・・・」
中には、小さな鈴が入っていた。
鈴は部屋の明かりを反射して、七色に光った。
「これはね、なんでも願いを叶えてくれるんだよ。
俺達が皆にプレゼントを配りに行くでしょ?
それのお礼で貰えるんだ」
「でもそれは、お前の願いを叶えるためのものだろ」
「いいの。政宗の願いを、叶えてあげたいんだから」
そう言って、男は笑った。
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