「メリークリスマス!!」
その声が響いたのは、突然だった。
戸締まりはきちんとしたはずだと思い、玄関に行こうとした時。
「メリークリスマス!!!」
また声が、今度はすぐ近くでして、驚いた。
後ろを振り返ると、知らない男が赤と白の服を着て立っている。
ニコニコとしながら男は、俺を見下ろしていた。
「・・・てめぇ、何処からっ!!」
「ちょっとちょっと、サンタは煙突から入ってくるんだよ!?そんな事も知らないの!?」
「うちに煙突はねぇっ!!!」
オレンジ色の髪。
顔にある緑のペイント。
サンタ服を着た、不法侵入者。
取り敢えず警察に電話を、と思い、電話に向かって走ったのだが。
「ちょっ!!!俺サンタ!!これホントっっ!!!」
伸ばされた腕に手首を掴まれ、止められた。
そのまま後ろに強く引かれ、あっと言う間に俺の体は、自称サンタの男の腕の中。
「は、はなせっ!!!」
「・・・一人?」
「はなせってっ!!!!」
「ねぇ、一人??」
ギュッとそのままホールドされ、俺は動けない。
逃げようとしても、大人の力に勝てるはずもなく。
「寂しくない?」
男は再度聞いてくる。
仕方ないと諦めて、俺は男の腕の中で答えを口にした。
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