「で、テーマは何なの?」
政宗は俯いて、小さな声でテーマを言った。
「・・・『家族』」
ああ、なんて・・・なんて無情なセカイ。
政宗は、何を書けばいいのかわからないんじゃない。
何も『書けない』
家族からずっと酷い扱いを受けてきた政宗は、温かい普通の家族を知らない・・・。
「一緒に書こう?今はわかんないかもだけどさ、いつか俺が、ホントの家族を政宗に教えてあげるからさ」
俺が教えてあげる。
家族の温かさを、さ。
俯き、作文用紙とにらめっこしてる彼が言った小さな「ありがとう」と濡れた左目を、俺は知らない。
fin
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