珍しい事もあったもんだ








「遅くなってゴメン!掃除長引いちゃってさ・・・。帰ろ!!」


教室の中には、やっぱり政宗しかいなかった。
他の人はもう、帰宅したか部活に行ったのだろう。
一人で待たせしまって、本当に申し訳ない。

だけど、政宗は立ち上がらない。
じっと机の上を見たまま、返事もしてくれない。
だけど、怒っている感じはしない・・・

「政宗?」

そっと近づいて机の上を見ると、何も書かれていない、それどころか書いて消した跡すらない作文用紙があった。

「作文、終わってないの?」

コクリ

小さく政宗が頷いた。

珍しい事もあるもんだ。
何時もどんなに多くても完璧にこなしてくる政宗が、作文たった一つが終わってないだなんて。

「sorry・・・。コレ終わるまで帰れねぇんだ。悪ぃケド、先に帰っててくれるか?」

申し訳なさそうに顔を歪めた政宗が、俺にそう言った。

だけど、一文字も書いていないあたり。
何を書けばいいのかわからないんだろう。


「政宗のクラスのテーマ何?俺も一緒に考えるよ」

「えっ・・・でも」

「一人で考えるよりさ、いいんじゃない?」

「・・・thanks」





- 26 -


[*前] | [次#]
ページ:




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -