「遅くなってゴメン!掃除長引いちゃってさ・・・。帰ろ!!」
教室の中には、やっぱり政宗しかいなかった。
他の人はもう、帰宅したか部活に行ったのだろう。
一人で待たせしまって、本当に申し訳ない。
だけど、政宗は立ち上がらない。
じっと机の上を見たまま、返事もしてくれない。
だけど、怒っている感じはしない・・・
「政宗?」
そっと近づいて机の上を見ると、何も書かれていない、それどころか書いて消した跡すらない作文用紙があった。
「作文、終わってないの?」
コクリ
小さく政宗が頷いた。
珍しい事もあるもんだ。
何時もどんなに多くても完璧にこなしてくる政宗が、作文たった一つが終わってないだなんて。
「sorry・・・。コレ終わるまで帰れねぇんだ。悪ぃケド、先に帰っててくれるか?」
申し訳なさそうに顔を歪めた政宗が、俺にそう言った。
だけど、一文字も書いていないあたり。
何を書けばいいのかわからないんだろう。
「政宗のクラスのテーマ何?俺も一緒に考えるよ」
「えっ・・・でも」
「一人で考えるよりさ、いいんじゃない?」
「・・・thanks」
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