「政宗?」
「俺には、まだわかんねぇ」
確かなのは、嫌いじゃないって事。
「でも、ここは安心する」
そう言って目を閉じて、身体を預けた。
温かい人の体温が伝わってくる。
何故、コイツはこんなに温かいのだろう?
俺の意識はそのまま浮遊し、いつの間にか、眠ってしまっていた。
「政宗〜?」
見ると政宗は、俺に身体全部預けて、眠っていた。
「あ〜あ、寝ちまってやがる・・・」
いつも感じるが、政宗は年齢の割に大人びている。
しかし、今は違う。
寝顔は歳相応、否、幼いかもしれない。
「意外とガキなんだな・・・」
口許が緩むのがわかった。
対等に接してはいるが、政宗の方が三歳程下なのだ。
弟の様に思えてくる。
頭を撫でてやると、猫のように擦り寄って来た。
思わず笑ってしまう。
だって、普段の姿からは想像も出来ないから。
奥州筆頭と呼ばれ、戦の先陣をきっている彼とは、余りに掛け離れている。
「ま、こうゆうとこが可愛いんだけどな」
この時呟いた一言は、政宗には秘密。
聞かれたら、何を言われるかわからない。
伝えるのは、君の返事を聞いてから。
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