予期せぬ来訪者





ピンポーン。

チャイムの音が響く。また誰か呼んだのか、と黄瀬を見ればポカンと口を開けている。

なら、これは予期せぬ来訪者らしい。宅配かなんかか、と溜め息をひとつついて

「へーい…」

と応じながら重い腰を上げる。

ガチャ。

扉の先には─

「やぁ、だいk((バタン

「…火神ー」

開けた瞬間覗いた赤い髪に勢いよく扉を閉めると、1人では
捌ききれそうにもない衝撃を押しつけるために火神を呼んだ。

彼はすぐさま顔を覗かせ、こちらへと歩いてくる。

「なんだよ」

「いいから、一瞬…一瞬だけ開けてみろ」

怪訝そうな顔は無視し、それだけ告げると走り出せる体制を整える。

ガチャ…

「特に何もねぇじゃねぇ…か!?」

バタン。

「見たか?」

「正直夢だと思いたい」

「……な、なぁオイ。後ろ…」

閉じたと思われたドアは少しの隙間が見えた。

何故か。

それは…

「ハサミが挟まってやがる」

ダッ!!

火神の声を聞くやいなやダッシュを謀り、リビングへと駆け込む。

同じように走ってきた火神と俺を見比べて、高尾が脳天気に

「どーしたよ、お前ら」

と笑う。

それに答える気力もなくソファへと倒れ込めば、黄瀬が俺らの後ろを見て

「あ、赤司っち」

ぶんぶん手を振っているのが見えた。

「やぁ、久々だな」

嗚呼、俺死んだ。

全身の血液が引いていった。




予期せぬ赤の来訪者
(扉の向こうには魔王様)