アイスとパスタとまいう棒






駅に着くと2人はすぐに見つかった。なんたって2m越えと、その保護者のような美人だ。

嫌でも目立つし、話題にならない訳がない。

やんわりと様々な誘いを断っていた氷室に対して、紫原は人ごみにイライラしていた。

おかげでまいう棒が1分間に何本犠牲になったか。

慌てて手を振り、合流すると更に目立ってしまった。

苦笑する氷室と、目が据わっている紫原。

4人で相談しあった結果、当初の約束であったコンビニでアイスを買い、その一つを先に紫原に渡す。

「…何これ」

「ハーゲンダ●ツです」

「お前のだけ2つあるから、家帰る前に食っちまえ」

「青峰っちと火神っちに見つかったら面倒ッスよー」

3人で合わせて、食べるように勧める。

「ふーん…」

さも興味なさそうに受け取って、食べ始めた紫原っちを見て、氷室サンが

「機嫌、直ったみたいだね」

と笑った。




* * *




「ただいまー」

「ただいまッス」

「今帰りました」

三人三様の言葉で帰宅を告げると、ひょこり、奥から火神っちが顔を覗かした。

「おー、遅かったな。昼飯出来てる……って、タツヤと紫原?」

「んー?火神??なんでいるの」

「久しぶりだね、タイガ」

「キセキでマトモに料理出来る奴いねぇ、って黒子に駆り出された。─じゃなくて、アイスは冷凍庫入れとく。飯の後で良いよな?」

あー、確かにもうそんな時間か。了承して、袋を彼に手渡した。

リビングに入れば既に食べ始めている青峰っちと緑間っち。

不服そうな顔でそれを眺めれば、台所の方から

「お前らのも出来てるから」

と呆れたような火神っちの声がして。

それに手伝いを申し出た高尾と黒子のおかげで、すぐに飯にありつけた。



「え、何これ…」

「パスタだけど?」

無理だったか?

そう聞いてくる彼に対して答えたのは俺じゃなくて高尾っち。

「いや、レストランかここは!」

皿の上に盛り付けられた夏らしい冷製パスタは見た目も綺麗だし、味も最高だった。朝も食べたからそこそこの予想はついたけど、初めて食べた高尾っちや緑間っちは驚くだろ、そりゃ。

紫原っちも美味しそうだったから良かったッス。






アイスとパスタとまいう棒
(6人で食べた昼食)