ラッキーアイテム






黒子っちが玄関にあの人を迎えに行ってから数分後。

「黄瀬ぇ〜」

背中に感じる衝撃。まぁ、普段から笠松センパイにど突かれているからこれくらいは全然平気になったんだけど。

ってこの声は、

「高尾っち!?なんでここに」

「えー?ツンデレな真ちゃんの付き添い」

にまっと笑うと彼は後ろの緑間をみる。ねーっと同意を求める彼に対して眉間にしわを寄せて心底不服そうな顔をしている緑間っち。

「…頼んでなど無いのだよ」

そう言う彼の右手には…

「ぶっは、何だよそれ」

青峰っち、指さして爆笑してるし。

「蟹座の今日のラッキーアイテム、かくれももじりの特大抱きまくらなのだよ」

「うわキッモ!!」

皿洗いなんかの後片付けを終えてこっちに出てきた火神っちも、指さして叫んでる。

「運気が上がるのならば見た目などどうでもよいのだよ。大体…」

「はいはーい、もうそこらにしとけって。真ちゃんもそんな事言うために来たんじゃ無いでしょうが」

青筋浮かべて2人に言い募ろうとした緑間っちを止めたのは高尾っちだった。

ごそごそと緑間っちの鞄を漁って、大きな袋を取り出す。

「はい!真ちゃんそっちもって!!」

大きいと言っても鞄に入る程度なので、なにも男子高校生ふたりして持たなければいけないことなんてない。だから多分これは緑間っちなりの照れ隠しを高尾っちが上手くカバーした、妥協案ってとこ。

「誕生日おめでとー!!青峰」

「今日の乙女座のラッキーアイテムなのだよ」

そこまで呆気に取られていた青峰っちは、くしゃっと笑顔になって

「さんきゅな」

とその2人からのプレゼントを受け取っていた。



…って。

「火神っち、なんでそんなに笑ってんの?」

「青峰くんが乙女座だったと言うことに衝撃を隠せなかったようで」

「だっ、だってよ…ぶくっ……ぅぇっ」

笑い泣きしてるし。いや確かに真反対だけど。似合わなすぎにも程があるけれど。

「あーそれ俺も聞いたとき吹いたわ。どこがだよ!!って」

ぽすん。高尾っちが肩に手を置いてくる。

しばらくするとみんなくすくすくすくす笑い出して(緑間っちは笑おうとするのを必死に我慢してるみいだった)、訪問者を受け入れたリビングは温かい空気に溶けていった。


ラッキーアイテム
(似合わなすぎる星座とそれに隠された照れ隠しの贈り物)