ありがとう、愛してる。







「青峰っち」

そう俺を呼んだ黄瀬は、何故か泣きそうだった。



赤司が来て、全員でギャーギャー言いながら土産を開封して。

前会ったのは緑間の誕生日の時だったから、それから今までの話なんかをして。

人数が人数だし、2ヶ月近くもあれば積もる話もある。しゃべり終えたら既に日は傾き始めていた。

それから火神とテツ、黄瀬、高尾、紫原なんかが夕食を作って。今日一番豪華な夕食は全員が満足できる味と量。何より紫原が作ったケーキは、アイツが普段菓子ばっか食べてるからか味が洗練されていると言うか何というかで、甘いのがあんま食えねぇ俺でも切り分けられた分を食べきれた。

─8時過ぎ、祝いに来てくれたメンバーはバラバラと解散し始めて。各々に礼を言い終わった現在、黄瀬と2人きり。

「青峰っち」

そう、もう一度黄瀬は俺を呼んだ。例のアルバムで少し腫れた目元に再び涙を浮かべながら、静かに、艶然と微笑んだ。

「なん─っ」

なんだよ、告げようとした声は彼の唇へと吸い込まれて、驚きで目を見開くのと彼の頬を涙が伝ったのは、同時。

緩やかに顔を離され、こう囁かれた。

「アンタが、生まれてきてくれてほんと嬉しい」

初めて人に憧れて、好きになって、その人愛した。

アンタがいなかったら今の俺はいなかった、と。

「青峰っちが、バスケをやって行く中で絶対になってしまって、相手がいなくなって絶望してたとき俺がまた連れ戻せたら、そう思ってた」

忘れもしない高一の夏。インターハイの予選。

海常と桐皇の試合。

「結果的に無理で、それが本当に悔しくて」

火神っちと黒子っちには感謝してるけど、嫉妬した。なんで俺じゃなかったんだろうって。

恋人と言う立場にいはしたけど俺は無力だったから。


でも、とそこで黄瀬は一度言葉を切り、俺の目を真正面から覗き込んだ。

「今、こうしてみんなで集まって誕生日を祝えるなんて夢にも思わなかった事が、簡単に叶ってる」

ふわりと笑い、遅くなっちゃったッスけど、と前置いた。

「何が、欲しいッスか?」

アンタが欲しいもの、一番望むものがいいと。

そう告げられ口角を釣り上げた。



「Please laugh with me in also future.」


彼が紫原達を迎えに行っている間に、火神から教わったコトバ。

特出して賢いと言うわけでは無いが、決してバカではない黄瀬ならこの英文の意味くらい分かるはずで。

徐々に赤面して照れくさそうに首を縦にふった黄瀬を抱き締めると、涼。と普段は呼ばぬ下の名で呼び、

「愛してる」

それだけ告げた。





ありがとう、愛してる。
(Happy birthday 0831 !!)








* Please laugh with me in also future.(これから先も俺の隣で笑っていてください)








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