幸せな贈り物





それから、と前置きして彼はシンプルにラッピングされた四角いものを取り出した。

「大輝、誕生日おめでとう」

「サンキュ」

静かに受け取った彼は実に野性的に、こちらが見惚れるような笑顔を浮かべると丁寧に開けだした。

みんなそれぞれもらったものを抱えながらじっとその様子を見てる。

─トントン。

肩を叩かれそちらを仰ぐと薄く笑みを浮かべた赤司。

「涼太にはこれだ」

手渡されたのは、ブルーのフォトブック。ぱらりと開けば懐かしい、中学時代の青峰っちがそこに確かに存在していた。

「─あの頃は、実物だけだっただろう?」

それでは、いずれ薄れてしまうからな。

そう言われふにゃんと相好を崩した。

「ありがとう、赤司っち」

当時は本当に追いかけるだけで精一杯だった。好きだと言う気持ちも有りはしたけれど、それは本当に芽生え始めたばっかりのとてもとても小さなもので、憧れや探求心に勝る事は無かったから。

実際、青峰っちと俺が付き合い始めたのは部活を引退した3年の2学期からだったし。

しかも更に読み進めていけば俺がバスケ部に入る前、1年の時やおそらく桃っち提供であろう幼い彼もいて。

緩んだ涙腺は少しだけ涙を零した。

「黄瀬」

馴染んだ声に顔を上げれば、苦笑して雫を拭ってくれる青峰っち。

「─見てみろ」

手渡されたのは黄色い、多分俺がもらったのと色違いのフォトブック。

中は俺ばっかり。

驚いて見返せば赤司っちは薄く笑っていた。

「本当にバカップルですね、君たちは」

黒子っちがそう呟いて、俺は泣き笑いした。






幸せな贈り物
(大好きッス。青峰っちも、みんなも)