全員集合?






黄瀬、黒子、高尾の三人はコンビニを通り過ぎて、駅へと向かう。

アイスとは口実で、秋田から来る紫原と氷室を迎えに行くのだ。

「いや〜しっかしキセキって変わってんなー。普通中学ん時のチームメイトの誕生日祝うためにわざわざ秋田から東京まで来るか?」

そう言ったのは3人のなかで唯一キセキの世代ではない高尾。確かに、周りや世間一般から見ればおかしいかもしれない。

顔を見合わせて苦笑した黒子と黄瀬はそう思った。けれど

「去年が去年だったから、今年は特別なんスよ」

呟いて、笑う。

去年の、この時期。全中が終わって、それぞれの才能が次々に開花していって、バラバラになっていった頃。

誕生日を祝うなんて勿論無かった。そんな空気は欠片も感じられ無かった。

黄瀬は、それが堪らなく嫌だった。

思い返せば確かに自分からもチームメイトと距離をおいていたのだけれど。



─けど、今年。

誠凛がキセキの世代を変えた。変えてくれた。それがとてつもなく嬉しかったのを覚えてる。また、一緒に。って。

「先日の緑間くんの時もみんなあつまりましたしね」

発案は自分だった。緑間っち誕生日は前みたいにしないか、と赤司っちに持ちかけたんだ。そしたらそれが叶った。

「あー、あん時真ちゃん超嬉しそうだったぜ」

「え!?そうだったんスか?」

「おん。少なくとも眉間にしわ寄せ無いくらいは?」

「珍しいですね。あの彼が」

だろ!?

と2人の話は続く。

立ち止まって、その背を眺めて、泣きそうになった。

俺だけじゃなかったんだって。





全員集合?

(望んだんだ。
"あの頃みたいにもう一度"って)