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いつも通りの、何気ない帰り道。青峰っちと並んで歩く見慣れた街並み。
ふと横を見上げて、彼の精悍な横顔を盗み見る。
二人とも赤司が組んだメニューをこなして、更に自主練と既に習慣になりつつある1on1を終えた後だからその表情にも幾らか疲れが浮かんで見えた。
─けれどそんな程度でその整った男らしい顔立ちが損なわれる筈もなく、余計に拍車をかけているように見えるのは惚れた手前だからか否か。
あぁ、かっこいいなぁ。
なんて改めて思って、青峰っちに気づかれる前にと視線を前に向けなおす。
後少しで俺の家。この時が来る度に、もうちょっと家が遠かったら良かったのにな。とか考える俺は相当末期で。
日も大分暮れて薄暗くなってきた道を、少しだけスピードを落として進む。
あと数分、あと数秒でも長く彼と一緒に痛くて。
思い、再び青峰っちを盗み見ようとすれば、絡み合う視線。
「──っ!!」
意識せずとも顔へ集まる熱。
今、絶対顔赤いっっ!!
1人慌てて、俯いた。ただ目が合っただけなのに赤面するだなんて、恥ずかし過ぎる。…というか、彼がかっこよすぎるのが悪い。
悶々と考え込めばグイと急に距離が縮まって、次の瞬間に重なる唇。
目を見開いたのもつかの間、荒々しく口腔を蹂躙する彼の口付けに身を任した。
「──んっ……ふぁ…」
ひときわ深くなったと思った所で離され、どうして?そう目で問いかけた。
「物欲しそうな顔でこっち見んな」
止まんなくなる。
呟いて、青峰っちは今日一番の笑顔を俺へ向けた。
やっぱ、アンタには適わねぇッスわ。
甘酸っぱい砂糖をひと匙。
(幸福な日々に贈る、甘い甘い幸せ)
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