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で、この前。WCの一回戦で彼は火神や黒子っちに負けた。


試合後、珍しく彼の方からかかってきた電話でそう告げられた。

その声は、心なしか出会ったときのようで嬉しかったのと、本当は俺がそうさせたかった、っていうので泣けた。


─こうして振り返ってみれば彼に関して自分は泣きすぎのような気もするが、中学時代…いや今だって俺の心を占めているのが青峰っちだから当たり前だと感じてくる。

末期症状な自覚もあるが、今更何をしたって変わりはしないのだから俺は自分自身を精一杯理解しようと決めたのだ。

そして少しながら以前のようにバスケに対する気持ちが変わった彼は、休日になるとこうしてよく1on1をしてくれる。

やっぱりまだ勝てはしないけど、しっかり見て、刻むために、しなやかな青峰っちの動きを間近で見れるのは俺にとって嬉しい意外の何物でもなかったから。

嬉しそうに、だけど上から笑う彼はやっぱりどうしてもバスケを嫌いになれなかったらしい、と。そう感じた。



* * *



「あー!悔しいッス」

ごろんとストバスのコートの隅に寝転がる。

─ガシャン。

あ、入った。

そんな俺に目もくれずに、ボールを己の体の一部のように扱い、シュートをきめた青峰っち。

トン、トン、コロロ……。

網をくぐったボールは何度か跳ねると彼の方へと転がった。

それを持ち上げて、俺の方へ投げてよこすと

「まだやれんだろ?」

不敵に笑う。

それを見たらいても立ってもいられずに、バッと立ち上がってその勢いのまま彼からボールを奪った。

ダムッ。

地面で一度跳ねた球体はすぐに俺の手元へ返ってくる。

手のひらに馴染む感覚を確かめながら放った先は、ネットの中。

きちんと通ったことを確認すると、青峰っちに指を突きつけて

「勿論っ」

宣戦布告した。











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