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「話があるの」
そう、赤い唇を歪めて彼女は私を誘った。
露骨過ぎる程の敵意が、その薄暗い笑顔の下に垣間見える。
普通ならば何事も無いただの笑み。けれど少しばかりでも、モデルと言う世界に足を踏み入れた、私にとってはバレバレの造り出された表情。
─それでも。
「いいッスよ」
一言でその話を請けたのは、どこかでこうなる事を予測していたからか。
「じゃあ放課後、屋上でね」
そうヒラヒラ手を振り去りゆく彼女が口元に浮かべたのは確かな本心からの笑いで。嗚呼、吐き気がする。
前にも、似たような事あったし。
(あー、これが付き合った代償ってやつッスかね……)
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