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いつも通りの日常だった。
俺たちが高校を卒業して、大学へ行くまでの間だと言うことを覗けば。
黄瀬と2人、黄瀬のマンションでぐだぐだして、昼からはストバスをした。
─オーバーワークで痛めた足のせいで、二年の半ばでバスケから離れた黄瀬など余り相手にはならなかったが。
それでも俺たちがするのは、黄瀬がそうしたいと望むから、俺が叶えてやっていると言う理由からである。
オーバーワークはスポーツマン的には褒められたものではない。自分の体を限界まで酷使し、そのツケを背負うことになるからだ。
自分の限界を見極めて、トレーニングをするのも実力に入るのである。
しかし青峰はそういった黄瀬のことを好きになったし、彼がそうしたのに、少なからずとも自分が関わっているのがあって責めはしなかった。
ただ、
『これで俺はアンタに勝てないままッスね』
と泣き、無理に笑顔を作った彼を抱きしめ、慰めた。
また、いつかできる。
その時には俺を絶対に倒せと。
懇願した。
彼を慰めているつもりが、いつの間にか自分に言い聞かせているようになったのは、仕方なかったと思う。
それほど、心のどこかで望んでいた。
黄瀬が自分を倒し、同じ舞台…その隣に立ってくれることを。
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