>>3
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彼は、万人が羨むような人だった。
底なしのバスケセンスを持ち、長身でバランスの取れた体躯。
褐色の肌に精悍な顔立ち。
……デリカシーが無かったり、あまり頭が良くない事を除けばめちゃくちゃ格好良かったんだ。
だから女の子にも結構モテていて。
彼女達からすれば、付き合っている私は邪魔だったのだろう。直接言われる事も多かった。
それでも青峰っちは私だけを好きだと言ってくれたし、優しかったから。それを糧に彼女達を追い返すくらい訳無くて。
半年程すれば、彼女らも大半は諦めたようで直接は言われなくなった。
…まぁ要するに陰口や持ち物への嫌がらせは継続してたんスけど。
* * * *
まぁそんなこんなでここ最近は全く無かったから、少し読みが甘かったかも知れない。
彼女の一言がこんなにも突き刺さるなんて。
「…は?」
思わず、聞き返した。
「だから貴女じゃ青峰君に釣り合わないって言ってるの!!」
彼女は苛立ったようにヒステリックな声を上げる。
─釣り合わない?
私が?
青峰っちと?
「理由、聞いても良いッスか」
そんな事、とっくに知ってる。私なんかがバスケ部のエースで、才能に溢れている彼を独占しちゃいけないことくらい。
身の程しらずだって事も承知の上だ。今までの経験からしても分かる。
けど……
「貴女みたいな誰にでも足開くような女」
そんな理由じゃ納得できないッスよ。
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