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放課後─屋上。

歪んだ顔の彼女が指定した通りの時間と場所。

ここに来ることを青峰っちには言わなかった。単に用事があると告げて一緒に帰ることを辞退した。呼び出されたなんて微塵も思わせずに。

彼が居れば更に話がこじれるだろうし。

ギィ。

重たく、錆び付いた音を発する扉を開ければ既にあの女はいた。

「ああ、やっときた」

ニッコリ。そんな満面の笑み。


「話ってなんスか」

敢えて無表情で問い掛ければ、少しだけその表情が崩れた。

後一押し。

手っ取り早く終わらせるために、ある鎌を掛ける。


「青峰っち待たせてるんで、早くして欲しいんスけど」

─ピキ。

見て取れて彼女の顔が凍る。本当はそんな事無くて、多分もう帰ってんじゃないかな。

こんな単純なのに引っかかるって…やっぱり。全く予想通りだ。分かりやす過ぎて困る。恐らく、次に彼女が発するのは


「話は単純よ。青峰君と別れて欲しいの」

(青峰っちと別れろって言う極めて悪質な¨お願い¨)


考えたのと、耳にしたのはほぼ同時。最早呆れて何もでない。何回同じシュチュエーション喰らったと思ってんの。

(まぁ、相も変わらずあの歪んだ笑みを浮かべてられるってとこは心底尊敬ッスけど)

「ねぇ、どうなの?」

…思考を飛ばしていた私を、怖じ気づいて何も言えなくなったと取ったか、彼女が答えを急かす。

ったく、本当に面倒だ。彼をお前なんかに譲るつもりなんて毛頭無いから。


「お断りします」

そう艶然と断った。










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