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─瞬間、何か聞こえた。

弾かれた様に顔を上げれば神社の入り口に、息を切らした青峰っち。

「黄瀬っ」

「あ…」

よろけながらも立ち上がり、これからどうしようかと思案する。

見つかってしまった。

次に、その口から聞こえる言葉が怖い。

カタカタと震え出す指先を握りしめて、とりあえず逃げなきゃ。ここから離れないと。その思いに突き動かされ、入ってきた時とは逆…つまり青峰っちがいないほうの藪へと踏み込んだ。

大して整備もされていないその中は、枝や葉がことごとく走ろうとする私へ絡みつく。

しかもジャージなら良かったものの、足がでる制服である。

一応、と顔は手で覆いながら進むけれど、多分その手の甲や太ももなんかは擦り傷だらけ。ぴりりとした細かい痛みがあちらこちらから主張してくるから。

─背後には気配と、足音。

なんで、嫌った奴なんかを追いかけたりするんスかね…。

また泣きそうになった自分を馬鹿にして、歩みを止めることなく緑の道なき道を行く。

雨天のせいで大した光もなく、元々もあるだろうが薄暗い藪の中。


前方が、少し白んで見えた。




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