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* * *
遡る事数十分前。私は青峰っちと喧嘩した…と言うか私が一方的に怒った。
多分、後輩と思われる華奢で可愛い女の子からの今時珍しいとも言える、ラブレター。
それを読むまでもなく部室のゴミ箱に突っ込んだ彼に。
『─ちょ!!何してるんスか!?』
『あー、なんかもらった』
『せめて目を通すとかしないんスか?』
『面倒だしいいだろ、別に』
『─っ』
その言葉が、やたら胸に刺さった。それは多分、私も彼に焦がれる1人だから。
今のこの立場にいなければ、顔も知らぬその後輩と同じ行動に出ていた可能性も十分にあるから。
だから、頑張って綴った想いの欠片が、無惨にも目を通される事もなく捨てられていくのに、泣きたくなるのと同時に憤った。
『…分かってるんスか?』
『何が』
『アンタに人1人の気持ちを踏みにじる権限があってそうしてるのかって言ってんだよ!!!』
叫んでから、後悔しても遅かった。シンと静まり返った部室。彼の目なんか怖くて見れやしない。
『──っ!!』
側にあった鞄をひっつかんで、踵を返しその場から逃げるように走り去った。
─そして、冒頭に至る。
* * *
私は、只のバカだ。
勝手に重ねて、憤って、耐えきれなくて、逃げ出した。
それなのに今、嫌われたんじゃないか、呆れられたんじゃないか、なんて不安に押し潰されそうになってる。
はぁ。
溜め息を何回も重ねる。
もう、色々と疲れた。
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