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赤いコーンを折り返せば、更に加速しようと試みる。

二位まで数メートル。

抜かせない距離ではない。

ダッと踏み切って横をすり抜ければ、次に見るは一位の背のみ。

スラリと伸びた体躯を持つ彼女は陸上部で、ペースも安定しているしリズムも綺麗だ。

足取りも軽いし今までの相手とは全然違う感じがした。

不安になる自分から目を背けてそこから何も考えないようにする。

大丈夫、いける。

そう言い聞かせるようにして。


* * *


遠目に走り出したグラウンドが見えた。

一位の彼女も先ほどとは比べようもないくらい近い。

─今なら…。

確信して、抜かしにかかった。

と、流石に部活柄易々と前をやるような指導は受けていない。

向こうもスピードを上げてくる。

しかし、何の悪戯か転がった小石は彼女の行く手を一瞬だけ阻んだ。

隙を見た私は好機とばかりに首位を取りに行く。


やっとのことで先頭に立ったは良いものの、迫る足音の緊張から逃れられない。

絡まりそうになる足を叱咤して、前を向く。

振り返ったら意識しなくてもスピードは落ちる、今は次へ繋ぐ事だけ考えろと。










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