>>3
「ハハハ、なんスか、それっ…」
キセキだってただの中学生だった。
ほんの少しだけ、天からバスケの才能を授かっただけの。
それをこの人はどう思っていたのやら、想像すると笑いが止まらない。
クスクスって尚も笑い続けていると、不機嫌そうなセンパイが睨んでくる。
スイマセン、なんて言って話を再開させた。
* * *
段々と自分の才能も磨かれていって、開花したとき周りを見渡した。
するとそこには誰もいない。
キャプテンだった赤司っち、No.1シューターの緑間っちも、紫原っちも。
そして、そんな俺らに幻滅した黒子っち。
高みへ上り詰めてしまい、周りを拒絶した青峰っちも。
あれだけ、ずっと一緒だと思ったのに。
各々が自分の力を持て余して、チームプレイなんかより個人の方が点が取れたし楽に勝てた。
それに気づいてしまった俺らがダメだったんだ。
「俺は自分の力を見つけてから、改めて青峰っちを誘ったッス」
久々の1on1に。
でも……
「彼はそれを受けてはくれなかった」
『お前じゃまだ勝てねぇよ』
そう記憶の中のアンタは言う。
以前のどこか優しさを含んだ、俺の憧れた時とは違う完璧に格下と見て、嘲笑う視線で。
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