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─話は中3の頃へと遡る。
夏の全中三連覇。それを成し遂げた辺りから彼…青峰っちは変わってしまった。
その前兆は確かにあった。けれども周りを圧倒するように咲き誇った青い才能の華は、敵を無くし孤高の王へ上り詰める。
あの頃の愚かな自分はそれをただ羨ましいと思い、憧れ、いつかそこへ行く事を望んだ。
いつだったか、緑間っちに
「あんだけ才能があれば楽しくて仕方無いんじゃないッスかね?いいなー」
と無邪気な俺はしゃべりかけた。その頃は緑間っちも才能が華開き始めた時で、苦い顔をしながら
「それは逆だと思うのだよ」
そう言ったことをあまり賢くない頭で確かに記憶している。
当時疑問しか浮かばなかったが、後に俺の才能が開花した時ようやく理解した。
その頃彼は部活にも全然顔を出さないし、毎日付き合って貰ってた1on1も全くしなくなっていて。
'後悔先に立たず'
なんて言葉がぐるぐる、ぐるぐる頭を巡っていた。
* * * *
そこで言葉を切ると笠松センパイはふと、何かを考え込むように俯く。
元々の身長差も手伝って、そうされると全く表情が見えなくて身の振り方に困るのだけれど。苦笑を小さく漏らすと、
「なんつーか、キセキも人間だったんだな」
そう言われて、思わず吹き出した。
それはもうファンの女の子が3mは引くくらいの勢いで。
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