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「なんで、青峰っちが謝るんスか?」


貴方は何も悪くない。言外にそう言う彼女を諫めるようにと自分の中で言葉を組み立てて行く。

これは俺の勝手な想い。

お前にだけは無事でいてほしい、そんな自分勝手な願いだ。


「…俺は、お前を守りたい」


少しの間の後発せられたのはそれだった。それからこう言い連ねる。

「お前が、弱くないことも、ただ守られてるばっかの女じゃねぇことも、俺が一番良くしってる。それも含めて好きになった」

そこには万感の思いを込めた。お前が頼りないとか、見くびるつもりもないけれど、と。─でも。


「今までにお前が受けた痛みを貰うのは不可能だから。だからせめて、これから降り注ぐ火の粉からは守りてぇ」

告げてから腕を緩めて黄瀬の瞳を正面から覗き込む。

そこに映る俺は本当に余裕がなかった。思い返せば笑えるほどに。


静かに返事を待てば、

「お願いします」

と微笑まれた。仕事用とは違う、ふわりと柔らかい心をそのまま雄弁に語るかの如く笑う。

「で、青峰っちごめんなさい」

「何がだよ」

「私、一瞬でも青峰っちの気持ち疑っちゃたんス」

ごめんなさい、そう言いながら流す涙を舐めとると驚いたように赤面し、身を引こうとする。

細腰を引き寄せてそれをそしすると

「バーカ。考え過ぎなんだよ」

言って二人で苦笑した。




* * * *


あの後キセキが藍河に何をしたかなんて……触らぬ神に祟り(たたり)無し。












がため
は振るおう
双の刃を
(これから先、君に傷一つ負わせはしないから)








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