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青峰っちの部屋について、そこから静かに語り出す彼の話を聞く。
すっかり定位置となった彼のシングルベッドに腰を掛けて。そんな私の向かいにはキャスター付のイスを引っ張ってきて、座る彼。
その距離感は、まだ真意が掴み取れない私からすれば微妙過ぎて一瞬、泣きそうになってしまった。
* * * *
青峰っちは淡々と喋ってくれた。
何がどうなって私が屋上にいる事を知り得たかと。
─最初は私が考えた通り、一度完全に下校してこの家へと戻って来たのだそうだ。これで彼が手ぶらだった訳はハッキリした。でも、そこから何で再び学校へと戻ったのかが分からない。
怪訝な顔をする私の疑問を悟ったのかそれも簡潔に、彼は答えてくれた。
「テツが珍しく切羽詰まった声で"今日黄瀬さんと一緒に帰りましたか!?"なんて電話してくるからよ」
先帰れって言われたから今家っつったら赤司に代わって、
「大輝、今すぐ学校に戻れ。お前が本気を出せば10分とかからないだろう?」
そう言われた。
と。
ただならぬものを感じて、鞄を投げ捨てるとそのまま引き返したらしい。
「…で、学校行ったら緑間と紫原もいてよ。お前以外のキセキ全員に取り囲まれて、事情言われて、考える間も無く屋上行ってた」
そこで青峰っちは一旦言葉を切り、立ち上がる。
─何をする気だろう?
なんて思っていたら目の前には彼がいて。
周りから伝わる温かさに抱きしめられていると気づいたのは数秒あと。
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