>>6
「悪ィ、遅くなった」
言って、また前を見据える。その右腕と逞しい体躯が私を庇うように背後へと促し、それに従うと一言
「すぐ終わる」
って聞こえた。
* * * *
─未だに脳内の混乱は収まっていない。何で、あの場所に彼が来たのか。それよりこの、目の前で私の手を引く人は、あの写真を見てどう思ったんだろう。
あの後私を呼び出して陥れようとした彼女─藍河さんは青峰っちに何かを告げられて泣き出したかと思うと、私たち横をすり抜けて屋上を出て行った。
それからしばらくして、どちらともなく学校からでて。
右手を握られているから、左肩に背負ったスクールバッグ。前にみる彼は鞄をもっていない。
やはり、一回帰ったのだろう。
そこから更に疑問は増えて。
「あ、あの青峰っち!!どこ、行くんスか…!?」
どう思われているかあやふやな今、自分から問い掛けるのは思ったより勇気が必要で。応えが返るまでの間がやたらに長く感じられた。
「俺ん家。詳しいことは着いたら全部言ってやる」
「は、はいッス」
慌てて返事して、そこから無言で彼の背を目で追っていた。
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