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カカシ視点

今日も誘ってしまった。
どうして普通に一緒にいたいと言えないのか、そんなもの自分が一番よく分かってる。
「ナルトといたいんだ。」そう素直に言ってしまえば、あの子はもっと遠くなってしまう。ずるい?大人気ない?情けない?何とでも言えばいい。それ程に俺はナルトとの距離やこの居心地のいい関係を壊したくないんだ。

「恋人がね、いるんだ。だから、その…何を買ってあげればいいのか俺じゃ分からなくてな。」そう見え透いた嘘を言ったのは俺じゃないか。
あの日、丁度何かの季節のイベントか何かの時期だった。ただナルトの傍にいたくて、嘘を言った。
今日もその嘘の延長だ。

「まったくカカシ先生も尻にしかれてんのな。ちょっと面白いってばよ。」
「あのねぇ…面白いは酷いでしょ。」

素直に笑うナルトに俺は何と言えばいい。
実は全部嘘、俺はお前が好き、とでも言えばこのもやもやした何とも言い難い感情は晴れるのだろうか。
「カカシ先生、どうかしたってば?」そう聞かれるまで、俺は自問自答を繰り返していた。
コンビニで商品の支払いを済まし、ナルトと一緒に店外へ出た。もう外はすっかり夜を迎えて、街灯の明かりが俺たちを照らしていた。
街灯の光に混じって少量の月の光がナルトを照らす。照らされた肌は触ってみたいと思うほどに綺麗で、元々金糸を持つナルトだ。余計に輝いて見えた。
ここでそれぞれ分かれて帰路につくと思うと、名残惜しくて無理やりに口実を作った。

「あのさ、お前のうちで一杯飲んでいい?」
「え…」
「駄目か?」
「いや…駄目じゃないけど…、先生酒も飲ませて貰えねぇのかよ。」

そう言ってナルトはまた笑う。困った様にでも少し嬉しそうに笑うんだ。
俺に背を向けて歩き出したナルトの手を引き、そのまま近くの路地裏に引き込んだ。
驚いたナルトの空色の瞳を俺が瞳いっぱいに写し出された。その事に優越感を感じながら、ナルトを壁に押し付け騒動に任せてキスをした。

ナルトとの距離やこの居心地のいい関係を壊したくない?それは嘘だ。
俺は自分に最後まで嘘を付けなかった。

「何、してんだってば…よ、カカシ先生…」

そう震える声で俺に問うナルトに、俺は満足げに微笑んだ。


臆病者は大嘘つき

終わり

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