狼と狼少年

一部

「…カカシ先生、」
「なぁに?」
「先生なんか嫌いだってばよ…」

それ説得力ないよ。
だって今お前、俺に抱っこされていつもの騒がしいのが嘘みたいに大人しくなって腕の中に納まってるし、それにね、ぎゅって俺の服掴んで離さないじゃない。
ぽんぽんと頭を撫でてやると、また恥ずかしそうに俯いて恐らく真っ赤な顔を隠すものだから、本当に可愛くて仕方ない。

「だから…!またそうやってガキ扱いすんだろ!だから嫌いなんだってばよ!」
「んー、だって可愛いからね。」
「む…!うー…カカシ先生大嫌い!」
「はいはい。」

いつもこの子は子供扱いすると怒る。でもね、ナルト。
じゃあ大人としてナルトに接してもいいの?
今俺がナルトに求めてるものと、ナルトが求めてるものは違うでしょ。
俺が求めてるものには大人の汚い欲だって含まれてるんだよ、ナルトが求めてるものは温かい体温、安心感、愛情。
まだ、お前には早すぎるでしょうが。
今はまだ俺だって我慢できるよ、でもそれはナルトがまだ子供だと自分に言い聞かせないと自制できない。
だから、まだ子ども扱いすること、許してよ。

「抱っこなんて嫌いだってばよ!」
「はい、嘘。」
「うっ……やっぱカカシ先生嫌い。」
「ねぇ、ナルト。あまり嘘つくと狼に食べられちゃうよ?」

この子の嫌い、なんてだたの照れ隠しで、好きの裏返し。
それが分かってるから、嬉しいから、余計にナルトが欲しくなる。

「はぁ?何だってばよ、それ。」
「嘘ばかりついて結局は誰にも信じてもらえず、狼食べられちゃう少年のお話。今のナルトみたい。」
「は?どこがだってばよ。」
「俺のこと嫌い嫌いって、嘘。」
「な…!!あぁもう、先生の馬鹿!てか、それ何か違くね?」

おいおい間違いじゃないんだけどね。



終わり

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