Valentine's day
一部
「サークーラちゃん!」
「うげっ!」
「何々?何してるんだってばよ?」
好きな男の子に女の子がチョコに好き、と言う気持ちを添えて自分の想いを伝える、なんて一体誰が考えたのか。
そんな日、俺には憂鬱でしかない。
貰いたくもない物を無理やり送りつけられて、こんな風に見たくない物を見てしまう。
「あんたになんかあげる訳ないでしょ!あ、サスケくーん!」
「…う、サスケの野郎!」
毎日サクラに振られてどうしてこうも諦めないのかねぇ。
まぁそれがナルトでもあるけど。
ねぇ、ナルト、俺がお前に欲しがってるものをあげたらどうするの?
はぁ…、と溜息をついてナルトの横に行って頭を撫でてやる。
「振られちゃったってば。」
「はは、お前も大変だねぇ。」
「あーあ、今年も駄目だったってばよ。」
「俺があげよっか。」
「は?何を?」
「チョコ。欲しいんでしょ。」
これはただの振られたナルトへの慰めだとしか、本人には思えないだろうね。
別にチョコなんていらないんだ、ナルトは。
サクラの気持ちが欲しいんだろうけど。
それと同じで、俺もね、お前が欲しいよ。
「いらないってば。」
だよね。「はは、冗談だよ。」って笑って誤魔化すつもりが ―
「俺はカカシ先生には貰えないってばよ、はい。」
ぽん、と手の上に置かれたシンプルな包装のしてあるハート型の箱。
え、これって ―
ナルトを見ればサクラのときとは違う表情で、耳まで真っ赤になって俺を見てくれない。
これって期待してもいいの、ナルト?
終わり