傍目八目

(シカ→ナル→カカ)

世の中にはどうしようもなく、めんどくせぇことがある。
傍から見てると、余計に物事の状況が分かっちまって、それもまためんどくさい。



「あ、シカマル…」
「ナルト、お前…、…なんかあったのかよ?」
「う、」
「そんな顔してっぞ、…ったく、仕方のねぇ奴…聞いてやっから、うち来るか?」
「シカマルうぅあぁ!」
「いっ…泣くな抱きつくな!」

最近こう言った事が多くなってきた。
つい最近まで馬鹿みたいに笑うナルトが、いつからか、泣きそうな顔で笑って人を寄せ付けなくなった。
こうして話を聞いてやる、と言えば糸が切れたように泣き出す。
俺はそれをもう何度も見てきたし、話だって聞いてきた。
それがいつしか俺だけの特権みたいになってた。
ナルトの弱い一面を目の当たりにしている、それが俺の特権。
そう、カカシ先生には絶対に見せないナルトの弱い一面。

「で、またカカシ先生絡みかよ…」
「シカマルの鋭すぎる勘は何とかならねぇのかよ…、」
「お前が分かり易いんだよ!」

カカシ先生に片思いしてるコイツに、俺は恋してる。
だから、嫌でも分かっちまうんだよ。





「じゃぁ、また来いよ。」
「え、いいってば…?」
「俺ぐらいだろ、お前の話聞いてやれるのは…」
「へへ、あんがとシカマル!」

俺に向けられた笑顔は、仲間として腐れ縁のダチとしての笑顔。
カカシ先生に向けられる笑顔とは違う。
それでも俺の心が不思議と満たされるのは、ナルトの唯一の相談相手というこの立ち位置のせいか。

「あれ、ナルトの気配がしたと思ったんだけど…シカマル、ナルト知らない?」
「あぁ、今さっき帰りましたよ。」

ナルトと入れ違うようにして現れたカカシ先生に無意識に眉を潜める。
本当に分かっちまうんだよ、

「ふーん、そっか。」
「アイツに何か用事っすか?用事なら伝えときますけど、どうせ明日も会うんで。」
「仲いいんだねぇ、」

カカシ先生がナルトに気があるってことが。
こうして俺の所にわざわざナルトのことを聞きに来るのも、俺に釘を刺すため。

「まぁ、ナルトに伝えといてくれる?」
「分かりました、」

本当にめんどくせぇ。



終わり

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