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ナルトの怯えた表情は、酷く疲労しているように見えた。
ナルトと名前を呼ぶと、はっ、とした様子で力なく笑った。

「…ごめっ、隊長…。」
「いや、いいよ。それより、」

ナルトの怪我に明らかに焦っている僕に、ナルトは大丈夫だ、といつものように笑おうと、けれども笑えず、切なそうな表情で口調だけは明るく言ってのけた。

「あ、あのさ!大丈夫だから気にすんなってばよ。こんなん、九尾の力で治るからさぁ!だから、もう大丈夫!敵の攻撃を俺が避けきれなくて、…それ、で…」

徐々に小さくなるナルトの声。
それは、嘘をつくのが下手なナルトの精一杯の嘘だった。
こういった事はカカシ先輩からは聞かされていた、聞かされていて出来る限り気を付けていたつもりだった。
けれど現実に目の当たりにすると、どうしてもこんな仕打ちに憤りを感じずにはいられなかった。

疲れた様子で壁にもたれかかって、僕に見られたことを酷く辛そうに、ナルトは誰にも言うな、と強く釘を刺す。
それが堪らなく苦しい。
ナルトの痛みや苦しみに今まで誰も触れてやらなかったのか。

「…ナルト、大丈夫だよ。誰にも言わない。」
「ほ、本当に?」

不安が見て取れるナルトの表情に悲しさと何もしてやれない自分に眉をひそめた。
出来ることならナルトの全てに触れたい、そんな事を思っていた。



終わり

再掲
オチがないのはご愛嬌
ヤマト隊長ってナルトの辛い部分を誰よりも知って理解してくれそう、いや寧ろ理解したい、傍にいてやりたい、な感じがするのは私だけですか


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