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椿とパッカ


今日の試合はたくさん失敗した。
俺はまだ駄目駄目だと思い知らされた気分だ。
それぐらい分かっていた事だけど、やっぱり、辛い。

そんな気分でゆらゆらとゆれる水の流れを見ていた。
星も無い暗い空を映すように川の水もまっくらで底なんて見えやしない。
コンクリートで舗装された道にただ立っていた、それも疲れて、座る。
かつん。
何かを蹴ったようだ。

足に当たった物を拾う。
平たくて丸い石がごろごろと散らばっていた。
きっと近所の子供があそんだのだろう。
こういう石をうまく川に投げると、石が生きているようにぴょんぴょんと川を跳ねるのだ。
なつかしいなと思って立ち上がり石を持った手を引き寄せる。
向こう岸まで少し距離があるけれど、この程度なら届く気がした。

投げる。
5回軽やかに跳ねて、沈んだ。

投げる。
今度は2度目で沈んだ。

投げる。
今度は凄かった。
5回、6回、7回跳んでその勢いはまだ落ちない。
これは向こう岸まで行くか、そう思ったが途中で変な音がした。
なんだか鈍い音だった。

暗くてあまりよく見えない事が悔しい。
なんとか目を凝らすと、なにやら川の様子がおかしい事に気付いた。
それも自分とすぐ近く足元の様子が、だ。

ぶつ、っと大きな気泡が浮いた。
その数はどんどん増え
ぶつ、ぶつ、ぶつと数え切れないほど気泡が出てきた事に驚いた。
何だこれ、と覗き込もうとした次の瞬間。

ざばーーあああ!と川が跳ねた。

水しぶきが噴水のように飛び散り辺り一面に降り注ぐ。
例外に漏れず俺も頭から浴びた。
思わず目をつぶり、開けると。



化け物が居た。



「うわぁ・・・・・・・んんんんっつ、うごぉう、もご、むぐ・・・・。」

思わず吐き出した悲鳴は化け物の手によって止められ
驚きと怖さで泣きだしそうになりながらただ立っていた、それしか出来なかった。
こちらが叫ぶ意志を無くした事を察して化け物が手を放す。
するとその化け物に見覚えがある事に気付いた。

無表情でありながら愛嬌ある顔。
自分よりもふた回り以上おおきい体系。
一言も話さない癖に雄弁に語るジェスチャー。
こいつは・・・・うちのキャラクターじゃないか!?

ぱちぱちと目を開けて閉じてを繰り返した。

「本当に隅田川に住んでるんだ。」
「言いたいのはそれだけか。」

これは予想外だ、返事が来た。
しかも怒っていらっしゃる。
みればパッカ君の頬が赤く腫れていた。
鈍い音の正体はこれだったらしい。

嘘ぉ!?

次の瞬間俺の体は宙を舞っていた。






「って所で目が覚めました。」

目の前の緑の生き物は何も言わず、俺の頭に手を添え熱を測る動作をした。



――――――――――――――――――――――――――
グラウンドでの出来事。
パッカ君は気軽に雑談に乗ってくれます。


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