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 視点変わって



(無自覚ターニングポイント・おまけ話2)

一緒に布団に入ることすら恐縮してしまう椿だから、布団に入った所で眠れるだろうか?
そう考えていたけど、余計な心配だったなあ。
目の前の椿はスースーと規則正しい寝息を立てて眠っている。
俺だって布団に入ったら直ぐ寝る方だけど、早えーなこいつ。
よっぽど疲れたんだろう。ハードな練習後に長時間の自主練、無理もない。

( 達海さん!)

ふと椿の声を思い出した。
そういえば、そんな呼ばれ方を椿からされたのは初めてだ。
いつからだっけ?
あ、そうそうあの時だ。飯食べながらテレビ見て話しこんだ時。
「監督」だと俺か、テレビの監督かややこしくなって止めさせたんだ。
で、達海さんになったと。

ひとり、うんうんうなずこうとして椿にぶつかりそうになった。
やっぱり狭いな・・・。

しょうがないので暇つぶしに椿を見つめる。
もう目も暗さに慣れて椿の顔がはっきり見えた。
見慣れたパーカーから覗く手を見てひょろいなあと感じる。
自分も体格に恵まれている訳ではないが(世良ほどでは無いか)イングランドではごつい奴らばっかりだから余計そう思う。
だからころんころん転がされてんだなコイツ、試合中。
といっても体格でフットボールするわけじゃねえからいいんだけど。
その前にこいつにプロ意識持たせて、で、・・・・えーと・・・、

・・・・ああ、ぬくいな。
だんだん眠気に思考が食い荒らされる。

なんか、椿お礼がどーとか言ってたなあ。
何してもらおっかなあ、別にいーのに。
けど言わなきゃずっと気にしそうだ。

・・・・・・・ああ、そうだ鍋食いたい。
料理なんて出来そうにないけどこれくらいならできるだろう。
何年ぶりだっけ、鍋なんて一人で食うもんじゃないし、てかあっちには無いし、
よせ、水炊き、しゃぶしゃぶ、すきやき、キムチ・・・・・・
まあ、なんでもいいや。

腕や胸に伝わる暖かさに身をまかせた。




「きゃああああああああああああああああああああ」
「うわああああああああああああああああああああ」

けたたましい大声に起こされた。
目の前にはゆたんぽ、もしくは抱き枕と化した椿がいた。
あれま、うっかり抱きついて寝てたようだ。
なー、お二人さんよ。顔を真っ赤にして驚いてるけどさ。



・・・俺だってびっくりしてんだよ、今の状況。




無自覚ターニングポイント中〜後前半の頃の達海視点。
椿の呼び方が監督から達海さんにかわった理由。
けど、また監督に戻る、時々達海さんって呼ぶ。理由は椿の気分。






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