文章 | ナノ


 



折角シャワーを浴びて流したのに再開される淫行にまた汗が浮かぶ。
首に感じる柔らかな唇と触れる髪の感触にピクリ、ピクリと体が跳ねた。
「おう、じ。見える所に付けないで下さ、い。」

それを聞いたであろう王子は小さな痛みと共にきっちり痕を残してくれた。
口を開こうとすればキスで絡め取られ、ジーノと正された。
呼び方を間違えた罰、という事だろうか。
明日だって練習あるのに・・・。
首に並ぶ赤い痕を見てまるで首輪みたいだと満足げに笑った。

「ジーノも脱いで・・。」
いい慣れない響きに照れくささを感じる。
だけど吉田さんなんて呼ぼうものならなにされるか想像する事さえ怖い。

日に焼けるのを拒む王子の肌は白い。
着ていた服が足元に落ち、ふわりと甘い香りが舞う。
男同士だというのに目のやりどころに困って視線を泳がせた。
くすり、と笑ったジーノが頬を撫で優しく自分の方へ向かせられた。

「脱いでって言ったのは君だろう?」
妖しく動く指が顎から頬、耳元をつつっと撫でて唇に触れる。
唇の形に沿うようにくるりと撫でそのまま口の中へ指入り、ナカを蹂躙する。
意地悪く絡む指を舌で阻もうとしたのに、器用に動く指は舌を絡め取りひっかくようにして刺激を与えてくる。
気づけば甘えるようにジーノの指を吸い、与えられる快感を享受していた。






「そう、してると本当に、犬みたいだね」
床に座る椿がベッドに腰掛けるジーノのモノを銜え精一杯
唇と舌で奉仕する様子を見てジーノが言った。

時折詰まるジーノの声が確実に快感を与えている事を伝えてきて、嬉しくなった。
眉をしかめ、少し苦しげな顔でこちらを見下ろす目と目が合って、逸らさないまま
強く先端を吸えば、苦しげな甘い声が漏れる。
口に入り損ねた根元は手でやわやわと触り、ぐぐぐと飲みこめる所まで深く銜え込んだ。

「上出来だよ、椿」
ジーノの白い体が桃色に火照り、きれぎれの息を浅く吐き出しながら俺を止めた。
もう限界が近いのだろう、重い体をゆっくり動かしてベッドに上る。
ジーノと向かい合う様にして座れば、後ろ向いてと言われ、大人しく従う。

「・・・・・っぁ!」
先ほど、散々刺激され柔らかくほぐされたナカを指がさまよう。
指で広げられると注ぎこまれたローションがどろりと足をつたう感触が伝わってきて
泣きそうな惨めさと罪悪感を感じた。

「すごいとろっとろ、わかる?ここがどうなってるのか・・・」
「嫌、嫌です、言わないで王子ぃ!」
「もう、すごく柔らかくって二本くらいじゃ足りないみたいにすっと入るんだ」
「そのくせ出そうとすれば、離したくみたいにぎゅうって締め付ける。」

ああ、呼び名間違えた!
背後にいるジーノの顔は見えないが意地悪く聞きたくない事を教えてくれるあたり
苛立ってるのかもしれない、いや、楽しんでそうかも・・・。
こちらからしてみれば楽しむ余裕なんてないんだけれど!

「あ、わかった?いま物欲しそうにひくついたの・・」
貴族みたいな気品あふれる王子の口からみだらな言葉がこぼれるこのギャップに
耳を塞ぎたくなるが、王子が後ろから押さえつけるせいで四つん這いのような状況になってる今
体重を支える手を動かす訳にはいかなくて、ただひたすら羞恥に耐える。

「お願いします、ジーノ、も、許して・・」
「許す、何をだい?」
「言わせ、ないで下さ、い。」

ぐちゅりとナカを大きく掻きまわされ、押し込まれる快感に身を震わす。

「僕は万能じゃないんだ、言わないと分かんないよ。」

うそつきっ、わかってる、癖に!
そう叫びたいのに浅い呼吸を繰り返す口は言葉を吐き出せなくて
込み上げる喘ぎを噛み殺した。

「意外と強情だね。」
「・・・・・んあ、はぁっ!」

指が抜けた喪失感に安心と寂しさを感じて気が抜けた拍子に肘がくずれ
尻だけが持ち上げられた姿勢が恥ずかしくて堪らない。
直ぐに肘を起して姿勢を正すと腹と胸を腕で支えられ、抱きかかえられて中腰になる。
熱を持って存在を主張する王子のモノが濡れそぼったソコに触れるのが分かって息をのんだ。

「そのまま、腰を落として・・・」
覚悟を決めてゆっくり腰をおろせば入り込んでくる存在の大きさに耐えきれず
途中で腰の動きが止めてしまった、膝と足裏に力を入れて体重を支える。
ぐっと唸れば、あやすように背中をねぶられ力が抜ける。
「・・・・うぁあああ!!」
体重と重力に惹かれるように一気に奥まで入り込んだ事で
想像を絶する快楽と痛みと圧迫感に悲鳴じみた叫びが漏れた。
ぐちゃりと水音が部屋に響くが羞恥を感じる余裕すら無い。

「・・・ひっ!」
力を抜いて落ち着こうとするのに何度も何度も力がはいってしまい更に締め付ける、
そのたびにジーノのモノの形や大きさをまじまじと感じて涙が零れた。
目の前に縋りつける物も無く、ただシーツを握りしめ、奥歯を強くかみ合わせて耐える。

「ハァ、ハァ・・痛いよ、バッキー。ちょっと、ハッ、力抜いてよ」
「出来なっ・・・ぃで、す、あっ!王子、おぅじ、おうっ・・」
この苦しさから解放されたくて縋るように名を呼んだ。

ここまで入り込んでしまえば抜く事すら困難で
まとまらない思考は考える事を放棄したように何も解決策を導けなかった。

「は、あ、は! んんっ、あ、あ。」
萎えかけた前を弄られ、熱を孕みだしたことで後ろも少し緩んだ。
背中に降り注ぐキスの雨に固まって動かなかった思考と体が弛緩しほっと息を吐く。
きつく閉じた目を開けた拍子に流れた涙が足に落ちる。
浅い呼吸を繰り返す内に少しだけ余裕が生まれると耳元に唇の感触。

「落ち着いた?」

苦しげな王子の声に二人で痛みも快感も分けあってる事に気づいて
じんわり暖かい気持ちになった。

「も、大丈夫、で、す。」
「それは良かった、このまま喰われるのかと思ったよ。まぁ・・」


「今みたいに生殺しみたいな状況も辛いから動きたいんだけど?」
イイ? と甘く誘うような声で聞かれ、ゆっくり首を縦に振った・・。

「・・っ、ぁ・・・ん、く、」

直ぐに肘折れそうな腕をつっぱり体を支えるも、突き上げられる度に体が崩れそうになり
不安定な体勢を前かがみになる事で保とうとする。
姿勢を変えた事で角度が変わる挿入が気持ちが良くって
気を抜けばもっと大胆にねだってしまいそうで、奥歯をかみ合わせて我慢する。

「そんなにイイ? ぜんぜん力入んないくらい?」
こちらから王子は見えないのに、王子からは俺の全てが見えてるようだ。
・・ずるい。

「さっきからさぼりすぎだよ、全然動いて無いじゃない。」
「ヨすぎて、動け、無いんですよ、ん!ぁ・・・・・うあ!!」

繋がったまま王子が体を動かし体勢を変えるせいで痛いくらいの快楽が暴れる。
四つん這いの状態で振り向くと、いつになく強く鋭い視線のジーノが見下ろしていて
ひっ、と息を飲んだ。さっきジーノは喰われるかもと俺に言ったが
今まさに俺が喰われてるのだと思う。

「これで、動かなくてもいいよ?」
妖しく微笑むジーノの顔を見て、全てを諦める覚悟を決める。
明日、体動いたら、いいな・・・・。






洪水のように流れ込み理性を押し流そうとする快楽に
意識まで呑みこまれたようで、気づいたら眠っていた。
既に体は清められていて、意外と王子は面倒見が良い事を再確認する。

起こさないようにそっと布団を出ると、床に落ちたジーンズを拾って足を通す。
時刻はまだ8時、今からなら門限にも間に合う。
何かメモみたいなものは無いだろうか探していると、ぐっと腕を掴まれた。

「どこ、行くの?」

寝ぼけ眼に掠れた声で引き寄せられた
いつになくぼんやりした様子が子供みたいで少し可愛いと思う自分にびっくりする。

「今日は帰ります、ジーノまた明日・・・」
「駄目。」
「え、あ?うわっ !」

ベッドに逆戻りする羽目になる、意外と王子の腕の力は強い事を初めて知った。

「さっき、ザッキーに頼んだから門限なら大丈夫だよ・・・」

腕の中に包まれて自然と腕枕されている事に気づいて驚いた。
さすがというか、道理でというか、王子が女の子にもてる理由が分かった気がする。
王子の甘い匂いが眠気を誘う、こんな時間に寝たら夜中に眠れなくなりそうだ。

あ。

椿は首筋を押さえた。
そこには赤いキスマーク。

どうしよう、これ・・絶対明日になっても消えないよな。
首輪みたいだと喜んでいた加害者を見れば、穏やかに二度寝していて
ため息を吐いた。




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この椿からは、絶対王子の甘い匂いが移ってると思います。




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